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台風10号の影響で強風にあおられながら横断歩道を渡る人たち=2024年8月28日午後3時45分、鹿児島市、日吉健吾撮影
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 風水害に襲われたとき、学校の登下校時間の変更や休校をどう判断するか、各自治体が頭を悩ませている。8月下旬に日本列島を襲った台風10号は進路が読みづらく、一部で混乱も起きた。台風シーズンが続く中、安全確保の手探りが続く。

  • 台風接近で下校時間「給食後」→「速やかに」 当日朝の変更で混乱

 福岡市に台風10号が接近した先月29日。市立小学校に通う息子2人がいる女性(46)は、この日は「給食後に下校」と前日に学校から連絡を受け、雨が強まるのを感じながら子どもを午前8時10分ごろに学校まで送り届けた。だが帰宅すると、学校から「午前9時半に一斉下校」との連絡。また学校まで足を運び、2人を引き取った。この頃には風も強くなり、傘がひっくり返る児童もいたという。

 在宅で働く女性には、この日三つの会議予定があった。夫は出張中で他に頼れる人はいない。迎えに行く前に慌てて昼食用のレトルト食品を買いそろえた。「在宅ワークでも振り回された。出勤していた人はもっと苦労しただろう」

 別の市立小に娘と息子が通う男性(43)もこの日朝、2人に付き添って登校した。傘が壊れるほど雨風が強く、差さずにぬれながら歩いた。教員が校門の前に立って、傘を差さないよう子どもに指示をしていたという。

 午前8時ごろに送り届けたが、その約30分後。学校から「午前9時以降に子どもを迎えに来てください」と連絡が来た。男性は「仕事で連絡を確認できない保護者もいただろう」と話し、「休校や下校判断の基準を明確にしてくれたら、職場への説明や仕事の調整もしやすかったのに」と語った。

 市教育委員会には、保護者らから「連絡が遅い」「なぜ急に判断が変わるのか」といった苦情が複数寄せられたという。

 こうした混乱は、市教委の唐…

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